楽器・機材

フレットレスのみょ~ん

最終的にビバップをやりたいわけではないけれど、いや、むしろそんなに好きで聴いているわけではないのだけれど、練習はビバップ系のフレーズばかり。やっぱり合理性があるし、ジャズ的な思考法を学ぶためには有効なのです。

指板をどう駆け巡るか、コードをどう処理するか、いかにしてフレーズにBluesというスパイスをまぶしていくか...etc。自分の音楽はこれではないなと確認しつつも、ひたすらビバップを練習して、先人たちの偉業にいちいち感嘆しております。そして今なおその有効性を信じて疑いません。

 

そして本日は練習の合間にフォデラくんの弦高調整。
この楽器が現在私の所有しているフレットレスの中で、一番弦高が低いセッティングになっています。皆さんが一般に想像される「みょ~ん」とか「ビョ~ン」とかいうあれを弾き方ひとつで出すためです。

 

フレットレスベース、一般に「ジャズをやるならフレットレス」なんて思われがちなのですが(以前は私も思ってました)、実は純粋にジャズをやるならば、特にビバップ系に近づけば近づくほど、この弦高の低いフレットレスはNGなのです。最もジャズに向いてないと思っています。

どういうことかというと、あの弦高低い楽器の音は、音の立ち上がりが非常に遅いのですね。もちろん、アンプのセッティングや弾き方で、ある程度は調整できますが、体感する音はやはり立ち上がりの遅い、ちょっと悪く言うと腰のない音になりがちなのです。しっかりとしたロー(低域)を出しつつ、単体で力強いリズムを出すということがやりづらい楽器なのですね。
ジャズで使われるベースの音、特にアコースティックなビバップ系で要求される音は、その音単体でずんずんと空間を切り開いていくゴリゴリとした力強いウッドベースの音。軍隊の行進のようなリズム。その音は上記のようなセッティングのフレットレスでは出ません。ただでさえウッドベースほどのダイナミクスを持たないエレベで、しかも立ち上がりが遅いとなると、やはりそれは違ったリズムに聴こえてきます。波形も持続音に近いです。
いや、できないとは言いません。ただ、ビバップ的な、皆が想像するようなあのようなリズム・音楽にはなりにくいのです。しいて言うなら、オルガンのベースをCDで聴くような、ブーブーとただ連続してるだけの音。

 

ではどうしているかと言うと、複数の楽器ごとに違ったセッティングや弾き方、弦を変えるなどの工夫をしているわけです。その具体的なやり方はレッスンなどでお話しするしかないのですが、要するにフレットレスといっても使用目的によっていろいろなタイプの楽器があるということなのです。特にジャズとそれ以外では、求められている音が大きく違うなと感じることが多いです(POPS系ではみょ~ん、ジャズではずんずん...etc)。

 

もちろん、ジャズをやるにしても、エレベはエレベなりのそれをやればよいわけで、そこにまったく異論はないのですが、他人のサポート仕事などでは、その(隠れた)オーダーの違いを感じ取り、対応する必要がこれまであったのですね。

 

あわよくば弾き方ひとつで両極端の音色を出せるセッティングというのも日々探しておりますが、これはなかなか...。今のところは楽器を使い分けるしかなさそうです。ちなみに、私の所有しているSTRのフレットレスは両者の中間のセッティングなのです。みょ~んを抑えた、ちょっとジャズよりのセッティング。
もっとみょ~ん出すかなあとか、ここら辺の悩みは深いのですが、こんな事考えているのが、実はとても幸せだったりもします。

ベース、楽しいです!

 

 

 

 

 

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