弦について
使用する弦によって、音は変わるのか?答えはYesです。全然違うニュアンスの音になることもありますし、そもそも弾き心地も違います。
ただ、果たしてその違いがどれほどの音楽的な違いを生み出すかというと、「別に変わらない」が答えです。
音楽の良し悪しとは無関係です。市販されているものならどんな弦でだって音楽はできますし、その違いが聴き手にとって重要な何かを感じさせることはまず皆無でしょう。弦の違いによる音の違いは、トータルの音楽の中では本当に微差で、奏者以外にはわかりにくい違いなのです。
ただ、間接的に奏者の演奏感に影響を及ぼすものであるため、一度「違い」を認識してしまうと、「この弦、何か違うなあ」となってしまい、演奏にも影響を及ぼす可能性があるわけです。粗悪なものや自分に合わないものを使っていると、弦の触感が気になって演奏に集中できないこともあり得るわけです。最終的な音楽的な違いではなく、感覚のズレが演奏に悪影響を及ぼすパターン、とでもいいましょうか。
とするならば、弦の選択は自分の演奏感覚を中心に選んでしまっても良いのではないでしょうか。私の場合の「演奏感覚」の判断は二点です。
①まずは「触感」です。触ってどれだけしなやかに、それこそ「弦の存在自体が気持ち良くて触りたくなる」または「弦の存在を忘れさせてくれるか」が重要だと思っています。逆に言うと、これさえあればどんな種類の音でも大丈夫なのです。音楽は作れますし、大事なのはそこじゃないです。
そしてもう一点は、
②「発音スピード」です。これはセッティングによっても大きく影響あるのですが、弦に触れてからピーク音に達するまでの時間、ととらえています。触った瞬間に音が出てしまう弦だと、ソロなどで非常にストレスフルな状態になります。または、発音の遅いブラックナイロンでキメキメのフュージョンなんかやっても、音が遅すぎてイライラするでしょう。「弾けないことはないし、音楽的にも別に変ではないが、全然気持ちよくない!」という状態ですね(笑)。「音のにじみ」が好きな私には、発音スピードの速すぎる弦は、ちょっと苦手です(エリクサー、このイメージで私は駄目でした)。
これが私が弦を選ぶ基準です。もちろん主観です。私はたいした耳も持っていないですし、個人差・使用状況があることなので(それこそ好みだって違いますから)、この弦がベスト!とかは言えないです。
現時点では、演奏するジャンルや、持っていけるベースの数、いろいろな制約の中で、いろいろな種類を試しつつも、フレットレスについてはフェンダーのブラックナイロン、4弦フレッテッドについてはガリストリングス(ラウンドワウンド)、に落ち着いてきました。ガリストリングスは現在売っている弦の中でも、かなり手触りが滑らかなように感じます。
あっ、誤解を招かぬよう書いておきますが、これが最高のものだという意味ではありません。実際、ROTOSOUNDのブラックナイロンも使っていますし(YAMAHAのフレットレスやエレアコベース)、STRというメーカーのフレットレス(4弦 36inch)には、ラベラのフラットを貼っていました。要は使用目的とのバランスです。そしてこれからも、この試行錯誤は続けていきますので~
2019/05/08