リズムがハシってしまう事への自戒
リズムについての自戒のために
リズムがハシってしまう、とのお悩みを持つ方も少なくないです。演奏のスピードがどんどん速くなっていくことです。
私だって時によってハシるし、それをコントロールするのは結構大変です。ただ、いつでもただひたすらにハシってしまう方と、ある程度のコントロールがきくという方の間には、音楽の精度という点でやはり大きな差があるように思えます。それは多くの場合、音楽の出来に直結しているように思います。いつも同じようにハシってしまう演奏は、やっぱり説得力に欠けてしまいますよね。
また、得てして音楽(器楽奏法)の世界では、表面上は少しの差に見えることが、実はとてつもなく大きな差だったりもすることも多いですが、ここでもその差は実は簡単には埋まらない修練の差があるように思います。そこにどれだけ意識的に訓練時間を割けるか、ということが結果に重大な影響を及ぼすように思います。
ハシってしまう原因はメンタルも大きく左右するように思います。いわゆる「熱くなって」(ホットに)演奏し、速くなっていくというパターン。または演奏上の不安を打ち消すために、自らそのトランス状態に入り込み、意識的に熱くしようとしている方などもリズムのコントロールを失ってハシっていることも多く見受けられます(自分含め、ね)。
それが常に「悪」だとは思いません。BPM的に均一なのが良い演奏ではないですから。ただやはり、リズムがすべってしまっていたりすると、グルーヴ(ジャズだったらSwing)は出ていないことが多いですよね。妙にせかせかしたり、焦っているように聴こえるし、これは制御し続けていきたいと思います。
ただそのさじ加減が難しいのですよね。あまりに冷めた(クールな)頭で音楽やっていたってやはり冷たい演奏だし、聴き手の心に届きにくいようにも感じます。誰だって演奏中は多かれ少なかれ熱くなっていますし、それをなくしてしまうのは良くないです。ていうか無理です。要はメンタル的にこのバランスをどうとっていくかということなのだと思います。ホットとクールのバランスをどこでとるか、答えは人ぞれぞれ、場面にもよるでしょう。そしてここでも、いつもその人が考えていること・考えていないことが、その場で出ると思っています。
これとは別に、技術的なレベルでハシってしまうということももちろん多くあります。実はその練習方法が難しいのですが、例えば「iReal」などのアプリ系音源に合わせてフレーズ練習をしているときは、ほとんどリズム練習にはなっていないと思って良いです(和声的にもそうです、あれが正解だとは絶対に思わないでくださいね!)。もちろん導入段階での練習としてはリズム練習としても位置付けられるし役にも立ちますが、およそジャズの即興演奏をやるためにという高い目的のためには、全然それでは足りないです。あれは主にスケールとかアルペジオ、フレーズ練習のためだけのもの。結局、ある程度以上になると、他人と一緒に音を出すということでしかリズムは磨けなくなっていくのですね。特に「誰かに聴かれている」という状況が理想。これが、セッションやライブなどの「場数」が必要な理由です。
まぁ、そうはいっても、もちろん人はいろいろ工夫して個人でのリズム練習を工夫するし、その方法はいろいろな方が考案していると思いますので、それは各自の研究にゆだねたいと思います。私の様々なノウハウはレッスンを通じて皆さんにお伝えしています。
そして最後に、「ラテン」のリズム研究・練習は特に必要だなと感じています。4分の4拍子だけの商業音楽だけに慣れ親しんでいるとまったく出てこない多様なリズムがそこで展開されています。私はラテンの専門家ではないので、ある程度で線を引いておりますが、それにしてもこれから引き続きゆっくり研究・練習していくつもりです。
特にin TWO(カットタイム、2分の2拍子)で捉えるリズムのありかた。私は「一拍が4分音符ではなく、2分音符」などとよく説明しておりますが、この大きな流れを失わずに、さらにここから細分化された「符割り」と「揺れ」を感じ取ること。言葉にすると自分でもちょっと訳わかんないけど(←それじゃダメだろ)、それが非常にリズム精度をあげる練習になると思っています。是非練習してみてください(なんか説得力ないな...)。
おそらく、リズムに関してはプロアマ問わず多くの方がウイークポイントを持っていますし、私とお知り合いの方がこんな記事読むと、「あっ、私のこと書かれてる!!」とか危険な勘違いをされそうなので、しつこく「自戒のために」と書いております(笑)。あくまで自戒のため。そして、これからもさらなる向上を目指して一緒に練習しましょうよ!これに関しては「量」が必要だと思っています。さぁ、今日もメトロノームでも聴きながら出勤するかな(笑)。楽しみながら、頑張りましょうね!!