日記

自分の演奏に点数はつけないで

1月2月は発表会シーズンです。元々は秋にやるのが通例の音楽イベント、実際秋にはいろいろな発表会とかもあるのですが、そういうのはなぜか管楽器系に多いのですね。なぜかLM系(バンド系)はそれに押し出されるように冬にやるようになってきたのが、ここ10年くらい。やってみると意外と参加率もよかったりして、なら、これはこれでよかろうとそのまま来ています。

先日1本目の津田沼関係の発表会が終わりました。うまくいった人、いかなかった人、いろいろな感想などを聞きながらあらためて思うのですが、ああいったイベントで力を出すのってホント大変。曲ごとに演奏者も変わり、音量もまちまち。さっと準備してさっと演奏しなきゃいけない。結構大変、というかそれでいつも通り演奏できる人の方が少ないです。時間的な制約もありイベント的にはこれ以上どうしようもないのですが...。

そして、またそれとは別の難しさがあるのが発表会というイベントです。
皆さん誰かしらのミュージシャン・バンドが演奏した音源などをコピーして、基本的にはそのまま演奏しようとするわけです。いわゆるコピーです。せーのでバンドみんながコピーしたフレーズをそのまま演奏するわけです。
でもちょっと待って。皆さんがやりたがるその曲って、過去に演奏された金メダル級の演奏だったりするわけです。技術的に簡単とか難しいとかを超えた「とんでもなく良い演奏」。フィギュアスケートだったら、審査員全員が満点つけちゃような演奏。プロでもいろいろな条件を整えて、やっとこさ(偶然や他人の力なども大きく作用して)生み出された音楽なわけです。演奏後にはもちろんミックスダウンなどのような音の調整もされているわけです。それをそのまま生演奏で再現するって...実はものすごく大変な事なのです。

だからこそ、そんな状況下で行われた自分の演奏に点数を付けたりしてはいけないのです。音楽の現場には不確定要素が多すぎます。季節・場所・時間帯・演奏者・使用楽器・音量...様々な事が色濃く影響します。ましてや優秀なミュージシャン達の金メダル級の演奏なのです。自分の演奏は大きくとらえて、余程ひどいミスなどがなければ良いのです。たとえうまくいっても偶然。うまくいかない事...原曲通りにはならないことの方が必然です。その中で、自分の能力の70%も出せたら御の字。もともとのクォリティを持っている方なら、70%でも十分聴き手に伝わりますから。

そしてそんな事より何より、他人と一緒に演奏するという楽しみ、私たちが感動してきたそこをこそ味わってほしいのですよね。自分の演奏の点数を気にしながら演奏するのではなく(それはきっととても「怖い」演奏でしょう)、たとえ間違ったとしてもにこっと笑って許してくれる仲間、すごく気持ちの良い演奏をする仲間、終わって一緒に悔し涙を流す仲間がいること、彼ら彼女らとのわずかな時間での音楽的会話、それこそが素晴らしいことだったりします。

もちろん反省やくやしさは次への活力になります。現状維持を目指せとは言ってません。本来自分の持っているリズム感をより一層訓練すること、フレーズの歌い方を研ぎ澄ましたり、音そのものを磨いていくこと。これは当然繰り返していかないといけないでしょう。ただ、それは時間をかけてひとつひとつ積み重ねていくこと。特定の本番のためにやることとは違うのです。

まずは自分の演奏に点数を付けないで。それよりも、音楽することを目一杯楽しんで!
いつもうまく言葉では言ってあげられないのですが、それこそが一番伝えたいことなのです。

 

 

 

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